基礎心理学とは
「基礎」は「応用」の対極にあります。基礎研究とは,目先の実用性を目指すのではなく,応用研究の礎(いしずえ)となる根本的真理を探求することです。基礎心理学研究分野は,人間の心と脳による情報処理と行動を実験で分析し,その機構と一般法則を解明・実証することを目標としています。科学的客観性・厳密性・再現可能性を持ち,洗練された実証的方法論は,本研究分野の特色です。とは言っても,応用研究を決して軽視してはいません。近年は,厳密な研究方法を活用した実用的研究や企業との共同研究も積極的に行なっています。
現在は,2名の教授のもと,それぞれが得意とする分野で研究を進めています。
森川和則教授が行う研究テーマは,例えば錯視(特に化粧や服装における錯視),顔の知覚,顔印象の認知,明るさ知覚,両眼立体視,視覚的記憶,空間認知,心的イメージ,判断と意思決定(特にギャンブル心理)などです。心理物理学や認知心理学の手法・知見を統合して人間の情報処理の解明に努めています。
[森川教授HPへのリンク]
入戸野 宏教授が行う研究テーマは,例えば,ポジティブ感情(「かわいい」の心理学など),興味と動機づけ(刺激に対する接近-回避動機づけなど),注意(プローブ刺激法など),音楽(ハイレゾ音源の効果など)等です。人間の心を主観-行動-生理の3側面から眺める心理生理学的アプローチを用いて,さまざまな日常場面における人間の心理について研究しています。
[入戸野教授HPへのリンク]
この分野は,コンピュータ科学や人工知能,認知神経科学とも関連し,理科系と文科系の中間に位置する分野です。2年生の秋冬学期に開講する授業「基礎心理学」(森川担当)では,この分野を概観する講義をします。また,3年生の春夏学期に開講する授業「認知心理生理学」(入戸野担当)では,脳波や自律神経系,表情筋活動などの生理測度を心理学研究で利用する方法について講義します。どちらも,ぜひ受講してみてください。